●はじめに
皆さんは『食物アレルギー』が発祥するとどのような反応が出るかご存知ですか?食後に突然じんま疹が現れた、顔が青ざめ急に元気がないなど、そんな反応が現れたら食物アレルギーかもしれません。
基本的には有害でない食べ物にも、免疫が過剰反応するのが食物アレルギーと呼ばれます。食物アレルギーの症状はさまざまで、人によってもその反応は異なります。例えば皮膚に現れることが多いですが、それも広範囲で起こることもあるのです。症状の重篤度は軽いものから命に関わる深刻なものまでにわたり、「アナフィラキシー」を起こす場合もあります。また、食物アレルギーは、幼い子どもに多くみられるのが特徴です。その理由のひとつには、乳幼児期は免疫機能や胃腸の消化吸収機能が発達しきれていないことが挙げられます。食物中の成分が十分に消化できないまま吸収されると、アレルギー反応が起こりやすくなることが原因として考えられています。乳幼児の場合は、食物アレルギーは皮膚に現れやすく、アトピー性皮膚炎を発祥する場合があります。
今回は子どもの食物アレルギーにはどんなものが多いのか、どのように克服できるのかをご紹介します。
●子どもに多い食物アレルギー
東京都健康安全研究センターによると、子どもの食物アレルギーで圧倒的に多いのは鶏卵です。次に、牛肉、小麦、落花生、大豆、キウイ、えび、ごま、くるみ、いくらの順番に並ぶそうです。断トツで多い鶏卵のアレルギーが子どもに多いことには理由があります。卵白の方が反応を引き起こしやすいとされていますが、子どもは消化器まだ十分に発達していないため、アレルゲンが腸粘膜を通過しやすいことが挙げられます。また、加熱時間や加熱温度もアレルギー症状の発症リスクと深く関係すると言われています。長く高温で加熱するほど、アレルギー反応は起こりにくくなります。
一般的に、年齢とともにアレルギー症状が改善する可能性は高いとされているので、将来的に安心して食べられるよう、定期的に食物負荷試験を受けるなど、経過を定期的に観察して見守ることが大切です。
●子どもが食物アレルギーを克服するには?
『市販の加工品を用いた食事指導』
これは原因アレルゲンを少しずつ摂取して、アレルギーを治していこうという経口免疫療法です。症状誘発のリスクはありますが、この治療方法の有用性と安全性はアメリカやフランスからも報告されているそうです。従来頻繁に取り入れられていた、原因アレルゲンそのものを摂取していく対応に比べて、副反応の頻度は少なく、食べられるようになる時期はほとんど変わらないという結果が得られてきています。
『経口免疫療法』
従来、食物アレルギーを持つ子どもは、原因食物を一切摂取しない除去食対応を続け、自然になおることを期待するだけがその対策だと考えられていました。しかし、除去食対応は成長期の子どもや家族にとって負担が大きいのが現状です。しかしこの傾向免疫療法は、対策がなかった食物アレルギーの子どもにとっては、とても効果的な治療法です。誰もが食べれば治るわけではなく、治療によってアレルギー症状が誘発される危険性は避けられませんが、そのリスクを知ったうえで、対処療法を準備し、取り入れる医療機関も増えています。
●最後に
近年、幼い子どもに多くみられる『食物アレルギー』は、時代と医療の進歩によって、その治療方法も変化しつつあります。『食べられないから、いつかたべられるようになるのを待つ』だけではないのです。ご自分の子どもに『食物アレルギー』が見つかったとき、ただ食べることを避けるのではなく、『食べて治す』と言う選択肢も視野に入れてみるのも良いかもしれません。